【国試・現場で頻出!!】肝不全で起こる門脈圧亢進とは
こんにちは。
ずぼらナースです。
前回は肝臓の機能について書きました。
とっても働き者の肝臓でしたよね。
今回は、その働き者の肝臓が
機能しなくなった時、
そう『肝硬変』と呼ばれる
状態になった時に
起こる症状について、その中でも特に、
『門脈圧亢進』
について解説していきたいと思います。
肝臓、頭の中でつながったら
とても面白いですよ!
では行ってみましょう!!
Contents [hide]
1.門脈とは。
上のイラストにある肝臓。
その肝臓の下に、
紫色の太い血管がありますよね。
(もちろん実際は紫ではないですよ!!)
それが門脈です!!
心臓の記事に書いたように、
体循環と言って、
心臓から全身に巡った血液(静脈)は、
通常心臓に戻っていくと
いいましたよね。
demuyanyuukakenshin.hatenablog.com
しかし、例外もあるんです。
上のイラストのように、
『胃』『小腸』『大腸』『脾臓』
からの静脈血は、
直接心臓には戻らず
一旦肝臓を通過します。
そのときに通る血管の名前を
『門脈』
と言います。
そのため門脈には、
胃や小腸から集められた
栄養を豊富に含んだ血液
が流れ込みます。
ただ、この門脈は静脈なので、
含んでいる酸素が少ないです。
なので、酸素が足りず、
せっかくの栄養を十分に
取り込むことが出来ません。
そこで上のイラストを見てください。
腹大動脈から枝分かれした肝動脈が、
門脈と並行して肝臓に入っています。
このように、肝動脈から酸素たっぷりの
動脈血が入ることで、
酸素欠乏状態が解消され、
栄養素をしっかりと
取り込むことが出来ます。
そこで前回の、「肝臓の働き」
の記事です!
代謝(栄養素の作り替え)
が行われていましたよね???
門脈から取り込まれた栄養素は
このように、
肝臓で人間に合う形に
作り替えられています(^^)
2.門脈圧亢進とは
門脈についてはわかりましたか?
この門脈は多量の血液が
流れ込みやすいように、
血管内の圧が非常に低くなっています。
しかし、肝硬変になり、
肝臓が硬くなってしまうと、
門脈から肝臓へ血液が
流れ込みにくくなり、
門脈内の圧が上昇した状態に
なってしまいます。
この状態のことを
門脈圧亢進
といいます。
門脈圧亢進によって出てくる
症状としては、
腹水・食道静脈瘤・痔核・メデューサの頭
などがあります。
ひとつずつ解説していきますね!!
①腹水
腹水は、門脈圧が亢進して、
血管が渋滞してしまうことによって、
肝臓に流れ込みにくくなった
血液の血漿成分だけが
門脈の外の組織へ染み出すこと
によって起こります。
また、腹水のもう一つの原因として
関係しているのが、
膠質浸透圧
というものです。
難しい言葉がでてきましたね・・・><
膠質浸透圧とは、
水分を血管の中に
引き留めておく力
のことです。
これにはアルブミンが
大きくかかわっていて、
アルブミンが減ると、
膠質浸透圧がさがって
水が血管内から漏れ出してしまします。
実はアルブミンは
肝臓で作られています。
ということは、肝硬変になって
肝機能が低下し、
アルブミンが作られなくなると、
膠質浸透圧も下がってしまいます。
すると、水分を血管内に引き留めて
おくことが出来なくなり、
血管の外に漏れ出します。
そのことによって、
腹水が貯まったり
浮腫になったり
ということが起こってしまいます。
膠質浸透圧の低下
⇓
腹水・浮腫の原因になる
とっても大切です!!国試にも出ます。
臨床現場でも、
アルブミンが低下して出る症状って
本当に頻発します。
是非覚えておいてくださいね^^
②食道静脈瘤・痔核・メデューサの頭
食道静脈瘤・痔核・メデューサの頭
この三つはすべて
同じ原理で起こります。
元々は、門脈→肝臓→下大静脈→心臓
というルートで流れるはずの血液が、
門脈圧亢進のせいで
肝臓を通りにくくなっていますよね?
そのため、血液がなんとかして
心臓に戻らなくては!!
と、別の帰り道を通って
心臓に戻ろうとします。
その道のことを側副血行路といいます。
側副血行路には
食道・胃静脈、直腸静脈、腹壁静脈
などがあります。
このような静脈に、
普段は通らない血液が
通ることによって、
血液量が増え圧が高まり、
怒張が起こります。
この圧が食道で起こることによって
食道静脈瘤
になります。
直腸の怒張が起こると
痔核
となります。
腹壁静脈に起こると、
メデューサの頭
として現れます。
3.まとめ
今回は門脈圧亢進について
勉強しました。
なんとなくでも頭に入りましたか?
重要ポイントとしては、
・門脈から栄養たっぷりの血液が肝臓に入っていること
・肝硬変になるとその流れが滞ってしまい、門脈の圧があがり、そのことを「門脈圧亢進」ということ
・肝臓に入っていけなくなった血液は側副血行路を通ること
・側副血行路を通ることによって怒張が起こり、食道静脈瘤・痔核・メデューサの頭という症状が起こること
・肝臓で作られるアルブミンが少なくなることで膠質浸透圧が低下し、腹水が起こること
これらのことを
覚えておいてくださいね!
なぜそのような症状が起こるのか
ということを考えたら
自然に頭に入ってくると思います。
いつも言いますが、
なぜ???
と思うことが本当に大切です。
前回、今回と勉強したように、
肝臓って本当に多くの働きがあり、
とても重要な役割を
果たしてくれている臓器です。
お酒の飲みすぎに気を付けて、
休肝日をとり、
大切にしていきたいですね(^^)
次回は(たぶん)肝硬変についての
記事を書きたいと思います★
今回も読んでいただいて
ありがとうございました♪